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【臨時掲載】 進行性直腸がん (Stage III-a) 永久人工肛門 確定診断に関するご報告 (第14報)

こちらのリリース記事につきましては,第15報以降につきましても,同じページにて,随時更新いたします。
なお,過去のリリース記事につきましては,以下のアーカイブスをご覧ください。

phyocc-i.hatenablog.com

第14報 (リリース日:2024年4月15日)

2022年6月23日・造設,および,2023年4月22日・再造設の一時的人工肛門につきまして,1年間に及ぶ経過観察の結果,再閉鎖を断念し,永久人工肛門とする診断が確定しましたので,以下の通り,ご報告いたします。

基本情報

  • 確定診断:進行性大腸がん (下部直腸がん)
  • 病巣箇所:下部直腸 5cm 程度
  • 病巣サイズ:20mm × 25mm 程度
  • 進行ステージ:ステージ III-a (リンパ節転移 1個あり) ※ 外科手術後の病理検査の結果,いったん確定したステージに,変更がありました。
  • 病状:1) 内視鏡による,直腸癌の病変切除を実施 → 2-1) 直腸癌の根治のために,外科手術を実施 → 2-2) 手術後の病巣の病理検査結果から,リンパ節への転移を 1個確認 → 3) 術後補助化学療法として,抗がん剤治療を実施 ※ 第11報にて,一連の治療完了 および 事後検査における所見なしをご報告済です。
  • 第13報までの状況:直腸がん術後,人工肛門閉鎖後,縫合不全 および 膀胱瘻
  • 現在の状況:直腸がん術後,人工肛門閉鎖後 再造設後 永久人工肛門

治療内容

■ 治療内容

  1. 経過観察のみ

人工肛門再造設後,1年間の経過観察を経て,永久人工肛門と診断。
補足事項:人工肛門再造設後,現在に至るまで,頻回の下痢が生じており,治療を継続します。

影響の範囲 (第13報までの影響に付加するもの)

人工肛門に伴う日常生活・業務への影響は,第8報 (初回造設) にて報告の通りです。
日々のストーマケアは当然のこととして,ざっと記すだけでも,以下のような制約が,終生にわたって続くことになります。

  1. イレオストミーのため,スポーツは原則できません (できる人もいるかもしれませんが,私は無理です。というより,もともとやらないですし)。
  2. ストーマパウチを装着する都合上,服装に制限が生じます。
  3. 肉体労働をはじめとした職種が制限されます (ストーマであろうとなかろうと,やっぱり縁がありませんが)。
  4. 食事のタイミングに,常時,気を遣います。たとえば,外出,就寝,装具 (パウチ) 交換,ストーマ外来の前の食事が制限されます。
  • よくある誤解 : ストーマケアさえできれば,健常者とほとんど変わらない生活を送れる・・・というのは,とんでもない大嘘です。当然ですが,ストーマケアに付随する制限等々,相応の苦労を伴います。

本人コメント

前回の報告より,1年間にわたり更新がありませんでしたが,実際に,何も報告に足るようなことをしていませんでした。もちろん,がんの転移検査や腫瘍マーカー検査も実施してきましたが,異常値が生じない限り,特に報告しないこととしていますので。その点を含めて,今日に至るまで,何もなかったということです。まだ,4年近い検査期間が残っていますが,この点は,引き続き最優先で注視してまいります。
さて,このたび,人工肛門の再閉鎖の是非にあたり,主治医より,1年前とほぼ変わらない結論をいただいたため,両親を交えた協議の結果,再閉鎖を断念することとしました。再閉鎖を断念した理由は,次の 4つです。
第一に,1年前に起こした事故のときと比較して,再閉鎖に伴うリスクが,ほとんど変わっていないことにあります。事前の念入りな検査に期待したものの,実際には検査のしようもなく (ほとんど形式的なもので),手術に踏み切るまで,何もわからないというのが現実であることがわかりました。これではまさしく,人柱的なギャンブルです。
第二に,リスクが以前と変わらないにもかかわらず,失敗が許されないことにあります。安易に,失敗したら再造設と考えても,機械のように何度も繰り返せるものではなく,造設自体が困難となり,手がつけられず詰んでしまうリスクのほうが高くなります。99.9% くらい,成功することが保証されていれば,再手術に踏み切らないでもないですが,このようなハイリスクの状態では,とても,再手術を受け入れることはできませんでした。
第三に,主治医自身が,患者の立場だとして,人工肛門の再閉鎖に踏み切るよりも,永久化を受け入れるほうが,予後も良好であるという見解にあります。仮に,再閉鎖に成功したとして,その後,確実にやってくる排便障害ひとつ考えても,QOL の観点から勧めがたいというものでした。言うまでもなく,排便障害それ自体が,縫合不全と膀胱瘻のリスクを高めることにも直結します。駆け出しの研修医ならいざ知らず,何十年にもわたり,数千の患者の症例を診てきたベテランの医師であり,外科の責任者として,この見解のもつ意味を,看過することはできませんでした。
第四に,両親の理解です。実は,第三のことまでは,1ヶ月前に主治医より伺っており,この時点で,個人的に「永久化を即決」していました。しかし,両親への説明も,意向の協議もないまま,終生にわたる障害の受け入れを勝手に決めてしまうことは,いかがなものかと思った次第です。もとより,私自身の意向を尊重する立場であることは承知していたのですが,最終的には,主治医の説明を聞いてもらい,私ともども納得したうえで,患者・医師・家族,三者としての意向を決めておきたかったのです。
そもそも,直腸がんの Stage III-a にあって,直腸という,便の貯蔵庫たる臓器を摘出してしまった以上,どう考えたって,病気以前の日常を取り戻せるはずがないのです。別の臓器で言えば,咽頭がんで声帯を摘出するようなものです。それでも,医学の進歩により,多くの患者が人工肛門を回避することができるようになったことも事実ですが,私のような例外もなお,少なからずいるということを知っていただきたいものです。いたずらに閉鎖して「よくわからないけど苦しんでいる健常者」であるくらいなら,人工肛門という,わかりやすく,客観的に認められている障害の形をもって生きていくほうが,今後の人生においても,ベネフィットが大きいという判断も働きました。もちろん,私自身も両親も,人工肛門が閉鎖できることなら閉鎖して,なおかつ,排便障害も最小限で済ませられることが願いではありましたが,なにぶん,私の身体のつくりが特殊すぎて,再閉鎖からわずか 1週間で縫合不全,さらには,主治医も想定外の膀胱瘻まで発症するという「前科」があった手前,普通の患者と同じようにいかないことは覚悟していました。
今後は,終生にわたって,人工肛門と付き合っていくことになります。まず手始めに,身体障害者手帳用の診断書まで,即日依頼してきてしまった以上,後戻りは一切できません (もちろん,障害厚生年金の申請も,粛々と進めます)。足掛け・1年10ヶ月の人工肛門とともに生きてきた人生が,今後,1年か 3年か 5年か 10年か,もっと長く続くかわかりませんが,私が死ぬそのときまで,さまざまな面倒な制約がつきまとう現実を受け入れつつ,第二の人生を全うしてまいります。


~追伸~ (目先の Live 参加活動について)
以下の記事もご覧ください。基本は,今後は参加数を減らしていき,いずれは引退する所存であります。
phyocc.hatenablog.com
もとより,6月以降,人工肛門の再閉鎖を前提とした「白紙のスケジュール」を組んでいたため,今さら動いたところで,6月から 7月にかけての案件には間に合いません (指を加えて,売れていくのを見ていましたが,すでに,とっくに完売案件・多数)。よくも悪くも,再閉鎖で家に閉じ込められる憂いがなくなりましたので・・・とりあえず,行けるものだけでも,ひっかき集めて行くくらいにしておきます。8月以降は,まだ決まっていない案件も多いため,おいおい考えていきます。
ただ,いつ何時,どのような現場であれ,人工肛門という十字架を背負う事実に変わりはありませんので,くれぐれも分をわきまえて,ご安全に臨場する所存です。

― 以 上 ―